鉛フリー実装における結合強度信頼性評価について
鉛フリー半田の接合強度について、共晶半田と鉛フリーの実装基板について比較することで品質・信頼性評価試験を行いました。
結果的には、強度測定・断面状態ともに共晶半田で実装したものと顕著な有意差はなく同等であるという結論をいただきました。
接合強度信頼性評価の目的
共晶半田で実装した評価モデル基板ならびに鉛フリー半田で実装した評価モデル基板について、 温度サイクル試験を実施し、それぞれの接合部強度、クラック状態の比較、並びにウィスカ発生の有無を調査し、鉛フリー半田の信頼性を評価します。
評価モデル基板について
・サイズ:270×130mm ・板厚:1.6mm ・材質:ガラスエポキシ
・表面処理:銅箔 ・層構成:4層 ・レジスト:両面
・シルク:両面 ・半田付:A面・・・リフロー、B面・・・フロー
・QFPサイズ:0.5 ・QFPパッド:0.4×2.6 ・チップコンデンササイズ:1608
・チップパッド:1.0×1.0 ・使用半田:千住金属 M705
試験条件並びに評価項目
試験条件
・参考規格(EIAJ ET-7407 3.3)
・サイクル条件:-40℃から+125℃を各30分 1000サイクル。中間500サイクルで取り出す。
評価項目
①外観観察:実体顕微鏡により、半田ぬれ、光沢、引け巣、ウィスカ、クラック等の観察を行う
②半田接合強度測定
・チップ部品・・・せん断強度(参考規格 JISZ 3198-7)

・リード・・・・・・・45°プル強度(参考規格 JISZ 3198-6)

・挿入部品・・・・・引張り強度(参考規格 JEITA ET-4709/20)
→破壊モードによる断面の観察

結果のまとめ
温度サイクル試験による外観形状変化
初期品は、共晶鉛フリーともに、濡れ性など良好。500・1000サイクル後は、光沢が劣化したが試験によって生じるものであり特に問題なし。ウイスカはともに発生せず。
外観形状変化では、共晶・鉛フリーそれぞれ大きな差異は認められなかった。
温度サイクル試験による接合強度及び断面状態の変化
・チップ部品(1608)
せん断強度は、共晶で23%(500サイクル)→49%(1000サイクル)の強度低下が認められた。
同じく鉛フリーでは、16%(500サイクル)→37%(1000サイクル)の強度低下であった。断面観察では、共晶・鉛フリーともに1000サイクル後に熱疲労による結晶の粗大化が見られたが、共晶で微細なクラックが観察されたが、鉛フリーでは引け巣が見られたもののクラックは生じていなかった。

・QFPリード
はんだ接合部の45°プル強度は、共晶で24%(500サイクル)→21%(1000サイクル)の強度低下であった。また、鉛フリーでは24%(500サイクル)→34%(1000サイクル)の強度低下であった。破壊モードの断面観察では、共晶ではチップ部品同様に1000サイクル後、熱疲労による結晶の粗大化と一部に微細なクラックが観察された。また、鉛フリーでは、ボイドは確認されたもののクラックなど異常は見られなかった。

・挿入部品
半田接合部の引張り強度は、共晶で1%(500サイクル)の強度増加→21%(1000サイクル)の強度低下であった。また、鉛フリーでは6%(500サイクル)→6%(1000サイクル)の強度増加であった。破壊モードの断面観察では、共晶では1000サイクル後、熱疲労による結晶の粗大化による組織的なもろさとともにはんだ接合部でクラックが発生していた。また鉛フリーでは、はんだ接合部でボイドおよびクラックが確認された。

以上、それぞれの検査結果において、一部ボイドやクラックが発生していましたが、強度低下が少なくクラックが貫通していないため導通的にOKであると判断されました。
最終的に昭和産業双葉工場の鉛フリー実装は、共晶半田による従来の実装と同等の信頼性が認められるという判断をいただくことができました。
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